終身年金を考えれば分かる国民年金のありがたみ

2020/07/14
老人過剰時代では、どうせ年金なんか当てにできない。そう思っていると年金の「受給資格」を得られないことになっています。最近になってこの「受給資格」が話題になることが多くなりました。

国民年金(基礎年金)の保険料の加入期間が合計で25年にならなければ「老齢年金は1円ももらえない」という現実に対して国際的に見てもあまりに非常識で理不尽な制度だという批判が多くなっているのです。25年間という国際的に見て非常識な加入期間がネックとなって、保険料未納が増えていると考えていいでしょう。

サラリーマンなどの厚生年金に加入している人も、一階部分の「基礎年金部分」と二階部分の「厚生年金」部分があり、一階の基礎年金部分で最低25年の加入期間がないと基礎年金部分は受け取ることができません。

25年という加入期間は、サラリーマンをやっている期間も当然基礎年金部分にカウントされますが、転職して年金制度に加入していない会社に就職したり、独立して自営業者になった場合でも基礎年金(国民年金)には加入が義務付けられています。その国民年金部分で保険料を納めない未納者が急増しており、納付率は平成13年度は70.9%だったのが、平成20年度には60.7%にまで減少しています。

日本では原則として「国民皆保険制度」を採用しているため、本来は法律で保険料を納める義務があります。それでも滞納者が年々増えていて、現在では4割の人が国民年金を納めていないのが現実です。

政府は滞納率を減らすため、見せしめ的に過去2回ほどお金があっても年金保険料を納めない人の財産差し押さえを実行しています。それでも未納者がどんどん増えているのはフリーターやニートといった正規社員になれない若者が増えているためで、雇用問題が片付かないかぎり今後もこの問題は解決できないといっても過言ではないでしょう。

問題は、まもなく年金生活に入ろうという人が25年の加入期間に満たない場合です。従来であれば1円も公的年金をもらえないのが現実でしたが、最近では60歳までに加入期間が25年に満たない人に対しても様々な救済措置が用意されており、60歳の段階で大きく分けて次のような救済制度ができています。

1.継続雇用、再就職して雇用保険に入る…サラリーマンになれば70歳までは厚生年金に強制加入になるため、好むと好まざるとに関わらず最高で10年間は受給資格期間を伸ばすことができます。

2.65歳未満の任意加入…公的年金の保険料は、通常60歳で払い終えるわけですが、25年に満たない人や年金給付金をもっと増やしたい人は65歳まで加入することができます。たとえば60歳の段階であと受給資格が3年間不足していても、継続して保険料を納め続ければ、63歳で受給資格が出来、さらに65歳まで支払い続ければ2年分かプラスされて、27年分の老齢年金を受け取ることができるようになります。

3.65歳以降の任意加入…昭和40年4月1日生まれ以前の人で、25年の受給資格を満たしていない人は特例措置として70歳まで任意加入が可能。ただし25年に達した段階で終了になります。

ちなみに現在の国民年金保険料は月額1万6,600円です。所得が少なくて支払えないときなどは「保険料免除制度」の適用を受けておくと、保険料を支払わなくても加入期間としてカウントされます。

免除制度には、「障害を負っている」「生活保護を受けている」といった「法廷免除」と「所得が減った」などの理由で市区町村に申し出る「申請免除」があります。全額、半額、4分の3、4分の1といった各種の免除制度があるので、詳細は最寄の社会保険事務所に聞いてみてください。